池に投げこまれた翌日、平吉は、紺屋(染め物屋)へ行こうとしている母親に言いました。
「神様が、父の申すことは無理もないことだ。きょうから、どんなひどい目の病気でも治してやるから、連れてくるようにとおっしゃったよ」
母親はそんな平吉の言葉を聞き捨てにして、紺屋に出かけました。村中で平吉のことがうわさになっていますので、紺屋でも平吉の話が出て、母親は、きのう父親が平吉を池に投げこんだことや、きょうの出がけに、平吉が「神様が目の悪い人を治してやるとおっしゃった」と言ったことを話しました。
ふしぎなことに、その紺屋には、若いときから目をわずらい、目が見えなくなったおじいさんがいたのです。この話を聞いて、おじいさんはすぐに、孫娘に手を引かせて平吉のところへ行きました。すると平吉は、
「治してやるから、明日来てください」
とおじいさんに言いました。おじいさんは翌日またやってきました。すると平吉は、
「今日は都合が悪いから、明日来てください」
と来る日も、来る日もおじいさんに言うのです。おじいさんはとうとう1週間も通いました。そして、ある雪の日にも孫娘に手を引かれてやってきたおじいさんに、相変わらず平吉は、
「明日治してやる」
と言いますので、ちょうど家にいた平吉の父親が、おじいさんを気の毒に思って、
「平吉!そんなでたらめなど言うと、承知しないぞ」
と叱りました。そして、おじいさんに向かって、
「こんな子どもの言うことなど、まに受けないで、これから来ないでください」
とお詫びしたところ、おじいさんは、
「いいえ、どういたしまして。神様のことですから、いく日でもかよいます。夜中に来いとおっしゃれば、夜中にでもまいります」
と言って、雪の中をまた孫娘に手を引かれて帰って行きました。
すると、ふしぎなことに、おじいさんの目の病は、その日から少しずつ良くなり、ついには、すっかり見えるようになったのです。
「神様が、父の申すことは無理もないことだ。きょうから、どんなひどい目の病気でも治してやるから、連れてくるようにとおっしゃったよ」
母親はそんな平吉の言葉を聞き捨てにして、紺屋に出かけました。村中で平吉のことがうわさになっていますので、紺屋でも平吉の話が出て、母親は、きのう父親が平吉を池に投げこんだことや、きょうの出がけに、平吉が「神様が目の悪い人を治してやるとおっしゃった」と言ったことを話しました。
ふしぎなことに、その紺屋には、若いときから目をわずらい、目が見えなくなったおじいさんがいたのです。この話を聞いて、おじいさんはすぐに、孫娘に手を引かせて平吉のところへ行きました。すると平吉は、
「治してやるから、明日来てください」
とおじいさんに言いました。おじいさんは翌日またやってきました。すると平吉は、
「今日は都合が悪いから、明日来てください」
と来る日も、来る日もおじいさんに言うのです。おじいさんはとうとう1週間も通いました。そして、ある雪の日にも孫娘に手を引かれてやってきたおじいさんに、相変わらず平吉は、
「明日治してやる」
と言いますので、ちょうど家にいた平吉の父親が、おじいさんを気の毒に思って、
「平吉!そんなでたらめなど言うと、承知しないぞ」
と叱りました。そして、おじいさんに向かって、
「こんな子どもの言うことなど、まに受けないで、これから来ないでください」
とお詫びしたところ、おじいさんは、
「いいえ、どういたしまして。神様のことですから、いく日でもかよいます。夜中に来いとおっしゃれば、夜中にでもまいります」
と言って、雪の中をまた孫娘に手を引かれて帰って行きました。
すると、ふしぎなことに、おじいさんの目の病は、その日から少しずつ良くなり、ついには、すっかり見えるようになったのです。
- 白い長いひげのおじいさん
- 平吉のおかしな行動
- キツネつきのうわさ
- 目が見えるようになった紺屋のおじいさん
- 神様に見放された館林の女性
- 掛け軸の文字