その後、初代様たちは、毎月11日に初代様の家に集まって祭りごとを続けました。
1935年(昭和10年)の11月11日に、初代様より10歳ほど年上で、お得意先の広瀬幸之助が立ち寄りました。
広瀬は信仰仲間ではありません。しかし、初代様は帰ってくださいとも言えず、夕ご飯をごちそうし、そのうちに祭りごとをする時間になり、広瀬も御神前に座りました。
いつものように電気を消し、御神前のロウソクだけにして、初代様たちはお祝詞を上げはじめました。
すると、佐藤安孝が神がかりとなって言いました。
「晴一に、暗闇にて字を読ませてつかわす故、ほかの者が別間にて何なりと書いて、闇にして晴一に渡されよ」
そこで、電気をつけて、皆で協議し、初代様の店の番頭である三部平三郎が一階に降りて文字を書くことになりました。三部が階段を降りようとすると、また佐藤が神がかりになって、
「人間どもは疑う故、一人だけではまかりならん」
と言いますので、初代様と菊地卯之助だけが二階に残り、その他の人、七名が一階で思い思いの文字を書いてくることにしました。
やがて、皆が書いてきて、二階で真っ暗にして待っている初代様に、順々に書いてきたものを渡しました。初代様は、受け取ったとたんに、片っ端から全部読み上げました。読み終えたあと、電気をつけると、皆が目を丸くしてビックリしていました。広瀬が、
「島田さんは千里眼だ」
といいますので、初代様は、
「そんなことはないよ。書いてある紙に、お月様のように、丸く明るくなるから誰だって読めるよ」
と言いますと、
「なーんだ。そうか、ちっとも気がつかなかった」
と皆が口を揃えて、何だバカバカしい、という具合で、やがて12時近くになったので、広瀬は帰り、初代様たちもそのあと、おこもりをして解散しました。
1935年(昭和10年)の11月11日に、初代様より10歳ほど年上で、お得意先の広瀬幸之助が立ち寄りました。
広瀬は信仰仲間ではありません。しかし、初代様は帰ってくださいとも言えず、夕ご飯をごちそうし、そのうちに祭りごとをする時間になり、広瀬も御神前に座りました。
いつものように電気を消し、御神前のロウソクだけにして、初代様たちはお祝詞を上げはじめました。
すると、佐藤安孝が神がかりとなって言いました。
「晴一に、暗闇にて字を読ませてつかわす故、ほかの者が別間にて何なりと書いて、闇にして晴一に渡されよ」
そこで、電気をつけて、皆で協議し、初代様の店の番頭である三部平三郎が一階に降りて文字を書くことになりました。三部が階段を降りようとすると、また佐藤が神がかりになって、
「人間どもは疑う故、一人だけではまかりならん」
と言いますので、初代様と菊地卯之助だけが二階に残り、その他の人、七名が一階で思い思いの文字を書いてくることにしました。
やがて、皆が書いてきて、二階で真っ暗にして待っている初代様に、順々に書いてきたものを渡しました。初代様は、受け取ったとたんに、片っ端から全部読み上げました。読み終えたあと、電気をつけると、皆が目を丸くしてビックリしていました。広瀬が、
「島田さんは千里眼だ」
といいますので、初代様は、
「そんなことはないよ。書いてある紙に、お月様のように、丸く明るくなるから誰だって読めるよ」
と言いますと、
「なーんだ。そうか、ちっとも気がつかなかった」
と皆が口を揃えて、何だバカバカしい、という具合で、やがて12時近くになったので、広瀬は帰り、初代様たちもそのあと、おこもりをして解散しました。